日本にある会社は380万社で社長の平均年齢は59.3歳。そして、そのうちの250万社が後継者が不在だと言われています。さらに、社長の年齢が60歳以上の会社は200万社で、そのうちの100万社が後継者不在の状態です。
この100万社の経営者は、「事業を何らかの形で他者に引き継ぎたい」と考えているのです。日本の後継者不足の問題は、ここまで深刻な状況なのです。言い換えると、ベテランのシニアサラーラマンにとっては、「経営者になるというセカンドキャリア」を実現する大きなチャンスだと言えるのです。
人気とんかつ店の悲劇
以前、「とんかつ屋の悲劇 〜 行列ができる人気店がなぜ廃業するのか」という記事がyahooに掲載されていました。これは、単に「とんかつ屋」に限った話ではない日本の抽象企業の深刻な現状を反映した記事なのです。まずは以下の記事の原文をお読み下さい。
「とんかつ屋の悲劇 〜 行列ができる人気店がなぜ廃業するのか」
この記事のポイントは次の通り。
- 本来であれば1000円から1500円ぐらい取らないと儲けが残らない立派なとんかつが定食が、600円から800円と格安で提供されていた
- 600円から800円と格安で提供できるのは、すでに減価償却の終わった古い設備、ローンを払い終えた自社店舗、そして年金をもらいながら夫婦で切り盛りしているから
- ある意味で、年金が経営継続への補助金のようになっている(年金が格安とんかつ定食の一部に充当されているということ)
- 夫婦二人で一人分の給与しかなくても、年金も含めて低価格をウリの何とか商売をやってこれた。何もやらないよりは、働くことへの生きがいや社会貢献を求めてお店を切り盛りしてこれた
- しかし、世代交代の時期になると若い現役世代にはとても生活をしていけるだけの収入を得ることができず、とんかつをあげる技術は身についてもいままで通りの低価格では商品を提供できない
このような状況から結果的に後継者は見当たらず、人気店が、ここ数年で次々廃業しているのが現状なのです。
このような状況はとんかつ屋や商店だけに限らず、製造業や問屋といった中小企業も同様。これまで、高齢者が年金をもらいながら。低コスト&低価格で切り盛りしてきた事業は、そのまま若手中堅が引き継ぐことができず、廃業の危機に瀕しているのです。
日本の優良中小企業が消えて行く
冒頭でもお伝えしたように、日本の中小企業の数は380万社で、3000万人以上の人が働いています。しかし、その半数が廃業の危機に陥っており、かつその廃業の危機にある半数の企業は、何と黒字経営だというのです。
さらに、廃業をせざるを得ない理由の3割が「後継者が見つからないから」というのです。これまで健全な企業経営を行い、顧客の信頼も得て事業を行ってきた企業が、まさに「黒字廃業」の危機にあるというのは、非常にもったないというだけではなく、そこで働く人々の仕事をなくすことにもなってしまうという、一つの社会問題でもあるのです。
シニアだからこそ受けられる事業承継
では、このような中小企業の事業承継問題の解決はないのでしょうか?
その一つとして注目されるのが、50代〜60代といったシニア世代なのです。シニア世代は役職定年や定年を迎えて次のキャリを選択する時期になっています。その選択肢には次のようにいくつかのバリエーションがありますが、年金受給までにはまだまだ時間もあります。
- 思い切ってリタイヤし悠々自適な老後を送る
- 今の会社で継続雇用をしてもらう
- 別の会社へ転職する
- 自分で事業を立ち上げる
- などなど
かといって、年金だけで楽に暮らしていけるよな人はそうれほど多くはありません。また、世の中は人で不足。シニア世代は、あと10年〜15年くらいは現役として活躍していかなければなりません。
そこで注目されるのが、「シニア世代が中小企業を買収し経営者になる」という新しい選択肢です。特に、大手企業などでサラリーマンとしての経験を積んだシニア世代は、実は中小企業の経営者に向いています。
総務、経理、人事、法務といった一般的な知識さえ持っていれば、大企業に比べて規模の小さな中小企業であれば、それほど苦労なくマネジメント可能だと言えます。中小企業のオーナーから、従業員や顧客、事業設備などの事業資産を引き継ぎ、これまでの大企業で経験してきたスタイルで経営することで、優良な中種企業の「廃業」という事態を救うことができます。
そして、中小企業で働く従業員の雇用を確保し地域経済へ貢献することで、新たなセカンドキャリアの意義を確保し、やり甲斐のある人生を送ることができるのです。また、引き継いだ事業を継続発展させることで、あなたは企業オーナーとしての大きなリターンを得ることにもなるのです。
まとめ
以上、0代〜60代といったシニア世代の新たなセカンドキャリアについてお伝えしてきました。それは、多くの廃業危機にある中小企業を、「買収による事業承継」という型で引き継ぎ、日本経済やそこで働く雇用を守るという、とてもやり甲斐のあるセカンドキャリアになるというものです。
あなたも是非チャレンジしてみて下さい。