日経新聞コラム:「成否を決める「やる気」、日本産永守重信の信念」か

今回の「ビジネススキル」ブログでは、2017年12月17日(日)版日本経済新聞スキルアップコラムに掲載された記事「成否を決める「やる気」 日本電産永守重信の信念 永守重信の言葉(第1回)」という記事をご紹介します。

この記事は、日経WEBサイトで次のように紹介されています。

今や世界一のモーターメーカーとなった日本電産。本連載では同社を創業し、育て上げた永守重信会長兼社長CEO(最高経営責任者)の言葉とその経営を、長年同氏に取材をしてきた田村賢司日経ビジネス主任編集委員がひもといていく

スポンサーリンク

日本電産と永守重信

日本電産と言うと、モーター事業において世界トップ・シェアを誇る優良企業で、その会社の社長が永守重信ですが、そのプロフィールは次の通りです。

  • 生年月日:1944年8月28日(73歳)
  • 出身:京都府
  • 出身校:職業訓練大学校電気科
  • 職業:実業家(1973年7月、日本電産を創業)
  • 経歴:2014年6月、ソフトバンクグループ社外取締役に就任。2014年10月、日本電産代表取締役兼最高経営責任者(CEO)に就任

<出典元:http://www.jia-kyoto.org>

創業者であり且つCEO、そして世界的な優良企業というと、「日本電算と永守重信」、「ソフトバンクと孫正義」、「ファーストリテイリング(ユニクロ}と柳井正」が有名ですが、永守重信は、孫正義や柳井正も一目置く経営者なのです。

それにしても現在73歳、パワーありますよね。73歳にして世界中を駆け回り、M&Aを仕掛けたりして日本電産グループを今も成長させて続けているのですが、2017年度の売上高は1兆1993億円に達した模様。さらに2020年度には2兆円、2030年度には10兆円に届くという壮大な夢をぶちあげているというのですから驚きます。

永守流の経営術

永守重信というと、社員とのコミュニケーションを大切にしつつも叱咤激励し、ハードワークやガンバリズムを主導するようなイメージが有るのですが、実は日本電産という会社では、「2020年に残業ゼロ」を掲げ、働き方改革=生産性改革への取り組みが話題になっています。

そして、2016年1月からスタートして残業を既に半減し、目標実現に近づいているという。

これまでに56社の企業を買収し(特に1990年代には国内の業績不振企業をM&A)、高収益や成長を目指す企業体質へと作り上げてきているわけでうが、同時に「残業ゼロ」という働き方改革をも実現するというのは、一体どのような経営手法により実現できるものなのでしょうか?

その真髄はと言うと、社員の士気の高さ、つまり「やる気」を何より重視するものなのです。「やる気」によって社内の熱気を高くしながら、徹底したコスト削減を推進する。永守重信は社員の「やる気」を探り出し、育てることによって縁の下の力持ちなっているのです。

スポンサーリンク

社員の「やる気」に支えられた経営

永守重信は「社員の士気がすべてを決める」と云います。永守重信の「心を動かす言葉」につぎのような言葉があります。

「物事の成否はまず、やる気で決まる。無気力でかつやる気のない社員を歓迎する会社はどこにも存在しないし、存在すれば、その会社は倒産するか、業績悪化するかどちらかである」

「目標を達成するためには何が最も重要か」と問われると、経営者は「技術力」、「商品力」、「交渉力」、「マーケティング」などと答えるのではないでしょうま。そして人を採用する際にも、「学歴」、「専門性」、「経歴」に重点を置きがちで、その人の「人間力」、「意志力」、「仕事力」といった評価しにくい面はついつい見逃してしまいがちです。

なぜなら、学歴、経歴、専門知識などは、物差しで測りやすく事業課題への即効性も期待できます。即ち、手っ取り早く技術的に解決したい課題に対応しやすいのです。

しかし、いざやり始めてみるとそう簡単にはいきません。商品力や技術力、マーケティングといった表面的に見えていた課題は、実はその解決に向けては、「組織の人間関係」や「会社風土」、「仕事の進め方・突破力」といった適応能力が必要になるのです。

永守重信は、このよなある種の資質・能力を「やる気」と表現し、士気を高めることが重要だといいます。何としても利益を上げるという強い意識を持っていれば、社員自らがコスト削減に知恵を絞り、実行するようになる。自らの意識でコスト削減に取り組むのだから、継続もすると云います。

高い士気、つまり燃える心(やる気)を持つことが始まりであり、そしてすべてだというのです。

永守重信から何を学ぶのか

「日本電産」、「永守重信」というと、「一流の経営者」、「洗練された経営手法」、「カリスマ」、「別世界の人」と思い、その本やインタービュー記事を読んで「ふむふむ」と終わりそうですが、じっくり読んでみるとそえは実にベタで地についた取り組みなのです。

定量的な経営数値やマーケティング力、綿密な事業計画だけでなく、何より「会社や事業の成否を決めるのはやる気だ」と言い切る永守重信。その行動指針には次のような「信念」、「執念」、「自身」なのです。

「事に当たっては『必ずやるという信念』『出来るまでやるという執念』『必ずよい結果をもたらすという自信』が大事だ」

目標と方法を示して成果を上げさせることで士気を高め、それがまた次の改善方法の創出につながるという循環を生み出すことに注力する経営者。こういった様々な仕掛を作り、社員自らの努力や工夫を生み出すことで、目に見える結果を出すことができるのです。

そうやって「目に見えて実感できる」ことでさらに士気はさらに高まっていくというのが。永守流の経営手法のようでう。ただし、決して妥協はしないこと。できなければ、できるまで必ず目を光らせ続ける。「信念」と「執念」と「自信」の裏には、経営改革にかける経営者のしぶとさが必要なのです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする